ドライオーガズムと前立腺オナニーの話 4

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本稿では、ドライオーガズムの詳細なメカニズムの説明をしたいと思う。

ドライオーガズムをやってみたいだけの人にとっては詳しすぎる内容だと思うので、無理に読まなくてもOK。

ただ、普通のオナニーでは飽き足らず、ドライオーガズムや前立腺オナニーという特殊なキーワードに踏み込んでいる人たちは、総じてエロの探求心が高く、往々にしてそういう人たちは正確な情報を求める傾向にあるように思う。僕がそうだし。

また、メーカーの公式説明は販促目的の表現が含まれる性質上、生理学的な正確さより伝わりやすさが優先されている場合がある。本稿はそれとは別に、メカニズムをできる限り正確に説明することを目的として書いてみた。

できる限り正確な内容になるように努めたが、「医学知識がない素人が頑張って書いたレベル」を超えるものではない事はご承知おき願いたい。

メカニズムを正しく理解する

ドライオーガズムを理解するために、まずは、男性の場合に混同されがちな射精とオーガズムについてみていく。

射精とオーガズムは別である

射精をしない女性にもオーガズムが起こることからも、両者が別の現象であることがわかる。しかし男性の場合、オーガズムと射精が同期することが一般的なため、混同されやすい。

射精とは

  • 性的刺激の累積によって脊髄の射精中枢が発火し、骨盤底筋の不随意な律動収縮が起きることで精液が体外へ押し出される現象。

  • 要するに精液が出るのが射精であり、この時、オーガズムを迎えているかは問わない。

※発火とは:神経細胞への入力が閾値を超えた瞬間、一定の大きさの電気信号が発生する現象。特定の回路における発火は、反射などの特定の生理的反応のトリガーとなる。

オーガズムとは

  • 性的刺激によって生じる感覚信号が脊髄を介して脳へ上行し、脳の報酬回路が活性化されるとともに、自律神経系や内分泌系の反応が統合されて生じる主観的な快感の知覚。

  • 具体的には、性的刺激によって生じる神経入力が閾値を越えた際に、ドーパミンの大量放出やオキシトシンの分泌などを伴う神経・内分泌的反応が生じ、それが多幸感・恍惚感として知覚されるものである。

  • 要するに、イった時のあの気持ち良い恍惚感がオーガズムであり、その時射精しているかどうかは問わない。(そしてこの事がドライオーガズム・マルチプルオーガズムのキーとなる)

  • 補足:

    • 骨盤底筋の律動収縮はオーガズムに至る強い感覚入力の一つとして関与することが多いが、必須条件ではない。オーガズムの成立はあくまで脳における男女共通の知覚現象であり、男性の脊髄反射として生じる射精とは成立機序が異なる。

    • 身体的刺激を伴わない思考・想像のみによる心因性オーガズムや、タントラ・気功などの文脈で語られるエナジーオーガズムといった概念も存在する。これらは本稿で扱う神経・内分泌的メカニズムとは異なる次元の現象であり、ここでは詳しく踏み込まない。

男女のオーガズムの違い

  • 性的刺激の累積の結果起こる骨盤底筋の律動収縮は男女共通して生じるが、男性の場合は射精という明確な結果を伴うために意識の前景に出やすく、逆に女性は律動収縮とオーガズムの体験が明確には結びつきにくい場合がある。

  • 男性の場合:

    • 射精時に流体通過などの入力を精管・尿道内の感覚受容器が検出する。
    • その信号が脳へ伝達されることで、プロラクチンの分泌が促される。
    • プロラクチンはドーパミン系の活動を抑制するため、興奮状態が急激に解消され、不応期(いわゆる賢者モード)が生じやすい。

    感覚入力 → 脳 → プロラクチン分泌 → ドーパミン抑制が強い → 不応期

  • 女性の場合:

    • 男性の射精のような明確なプロラクチン放出契機がない。
    • プロラクチンの上昇が相対的に小さい、あるいは生じにくく、ドーパミン系が抑制されにくい。
    • そのため比較的短時間で次のオーガズムに至ることができ、マルチプルオーガズムが生じやすい生理的背景の一つとなっている。

    感覚入力 → 脳 → プロラクチン分泌が少ない → ドーパミン抑制が弱い → 性的興奮が継続しやすい

  • 女性においてもオーガズム後に追加刺激を受け付けにくくなる場合があるが、これは男性のような単一のホルモン機構による強制的な不応期とは異なり、身体的・心理的要因が複合して生じるものであり、個人差が大きい。

オーガズムに関係する要素男性女性
律動収縮の意識射精と同期・前景に出やすい結びつきにくい場合がある
プロラクチン上昇大きい小さい・生じにくい
不応期強く生じやすい複合的・個人差大
マルチプルオーガズム射精を伴う場合は困難生じやすい

ここまでのまとめ

  • 射精とオーガズムはどちらも性的刺激の累積を共通の起点としながら、それぞれ異なるメカニズムによって成立する現象であり、「射精がオーガズムを引き起こす」わけでも、「オーガズムが直接射精を引き起こす」わけでもない。
  • 両者が同期しやすいのは、射精に伴う律動収縮が強い感覚入力として脳へ届くことで、オーガズムに至る状態が作られやすいためである。
  • したがって、射精なしでオーガズムに至ること(ドライオーガズム)も、オーガズムなしで射精が起きることも、条件次第では起こり得る。

ドライオーガズムとは

  • 簡単に言うと射精を伴わないオーガズムの事。(これに対応して、射精を伴う通常のオーガズムをウェットオーガズムということがある)

  • 糖尿病や逆行性射精など、オーガズム時に精液が体外に排出されない性機能障害も存在するが、本稿ではこれは取り扱わない。

  • 前立腺周辺の筋肉を能動的に収縮させること、または指や器具による圧迫刺激によって前立腺を刺激することで、射精準備期(Emission phase)が限定的にしか誘発されない状態で骨盤底筋の律動収縮を引き起こしオーガズムに至る現象。

    ※前項で述べた通り、律動収縮自体がオーガズムに至る強い入力信号となる。

ドライオーガズムはどのように、どれぐらい気持ちいいか

  • ウェットオーガズム
    • 射精という明確な結果に同期しやすく、快感が局所的で短時間に急上昇・急降下する傾向がある
  • ドライオーガズム
    • 体内から徐々に快感が増幅していき、オーガズム到達後も快感が持続する傾向がある。これにより、比較的短い間隔で再びオーガズムに到達することが可能となる場合がある。
    • よく女性のオーガズムと類似した感覚と説明されることがある。
    • 前立腺への豊富な神経入力が脊髄→脳の報酬回路を強く活性化するため、強い快感が生じると推定される。実際に、前立腺刺激によって骨盤底筋の律動収縮が起こる直前および最中において強い快感が生じるとする報告もある。
    • 自分でイクのではなく、内側からクルと表現される事が多い。
    • つまりはめちゃくちゃ気持ちいいし連続も可能。

なぜドライオーガズムの快感は持続するのか

ウェットオーガズム時は射精後にプロラクチンが分泌されドーパミン系が抑制されるため、興奮が急激に解消されやすい。一方ドライオーガズムでは射精を伴わないためプロラクチンの分泌が起こりにくく、ドーパミン系が抑制されにくい。そのため興奮状態が維持されやすく、比較的短い間隔で再びオーガズムに至ることが可能となる。

前駆収縮とオーガズム時の律動収縮について

ドライオーガズム時の不随意な律動収縮は、突然始まるわけではない。

  1. 刺激が蓄積される
  2. 感覚入力の累積により脊髄(仙髄〜腰髄)の反射回路が発火閾値に近づいていく
  3. 閾値に近づくにつれ反射回路が断続的に発火し始める:前駆的な不随意収縮(アネロスが勝手に動き出す感覚)
  4. 閾値を完全に超え反射回路が持続的・完全に発火
  5. オーガズム時の不随意な律動収縮

不随意な律動収縮による前立腺への圧迫が感覚信号を生み、その信号が脳の報酬回路を活性化してドーパミン等の放出を促す。それがさらなる興奮を生み、脊髄の反射回路をより発火しやすい状態にすることで次の収縮が促されるというフィードバックループが形成され、快感が増幅していく。

前駆的な不随意収縮とオーガズム時の不随意な律動収縮は、別々の現象ではなく、同じ脊髄反射回路が「弱く断続的に発火し始めた状態」から「閾値を完全に超えて持続的・完全に発火した状態」へと移行したものである。つまり前駆収縮は、オーガズム反射がすでに始まりかけている状態そのものだ。

このプロセスを邪魔しないために「受け身でいること」が重要である理由は、記事3で詳しく説明している。

前立腺

前立腺の機能

前立腺液を分泌する器官。射精時には精嚢由来の分泌物や精子と混合され、精液の一部を構成する。

なぜ刺激すると快感があるのか

  • 前立腺は骨盤神経・陰部神経の両方に関連する神経入力が集まる部位であり、感覚受容も豊富である。前立腺への圧迫・刺激はこれらの神経を介して脊髄へ伝達され、脳の報酬回路を活性化することで快感が生じると考えられている。
  • また前立腺は射精中枢(SEG)に関与する経路と近接しており、刺激が骨盤底筋の律動収縮を誘発しやすい位置関係にある。

なぜ前立腺からだとドライになり、賢者モードが起こりにくいか

前立腺刺激による入力は主に骨盤神経経由であり、性器刺激(主に陰部神経経由)とは脊髄への入力経路が異なる。この入力パターンの違いにより、射精準備期(emission phase)が十分に誘発されにくい、あるいは限定的になると考えられている。

その結果、

  • 精液の移動が起こらず精管・尿道の受容器が刺激されにくい
  • そのためプロラクチンが分泌されにくく、ドーパミン抑制が起こりにくい

上記により、不応期の形成(賢者モード)が起こりにくいと考えられる。(射精の項で説明している)

ただしこの神経機序の詳細は研究途上である。

PC筋について

PC筋とは、日本語で恥骨尾骨筋(ちこつびこつきん)といい、恥骨と尾骨をつなぐように位置する筋肉で、骨盤底筋群の一部を構成する随意筋だ。

  • 英語ではPubococcygeus muscle(パボコシジアス・マッスル)といい、恥骨(Pubis)と尾骨(Coccyx)を略してPC筋と呼ばれる。
    • 恥骨:骨盤の前、ペニスの付け根の上の部分を触るとある骨
    • 尾骨:いわゆる尾てい骨

多くのサイトや製品説明で骨盤底筋群とPC筋を同一のものとして説明しているケースが見られるが、正確にはPC筋は骨盤底筋群を構成する筋肉の一つである。ただし骨盤底筋群の中で最も大きな筋肉であるため、代表として扱われることが多い。

(骨盤底筋の一つである)PC筋を収縮させると、ハンモック状に緩く湾曲しているこの筋肉が全体的に持ち上がり、前立腺を上方へ押し上げる。同時に前立腺の上にある膀胱やその他内臓の重みと腹圧によって上からも圧力がかかり、前立腺がサンドイッチ状態に圧迫される。これがPC筋の収縮によって前立腺を刺激するメカニズムだ。

前立腺へのその他のアプローチ

実は前立腺へのアプローチは肛門内部からだけではない。

会陰からの圧迫刺激

尿道プジーなどによる尿道からの圧迫刺激

(執筆予定)